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3・2・B1F 展示室

私のいる場所-新進作家展vol.4

ゼロ年代の写真論

2006.3.114.23

  • 開催期間:2006年3月11日4月23日
  • 休館日:毎週月曜日(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日)
  • 料金:下記をご覧下さい。



このパートでは「写真表現」や「美術」の領域にとどまらず、広く「文化」や「生活」という領域の中で、「写真」を考えていきます。写真のデジタル化や通信ネットワークの発達は現代生活と写真との関わりを大きく変化させてきました。写真は専門技術であるよりも、感性感覚の延長として、コミュニケーション・ツールや視覚的な記号として、人々の日常の世界を、時には豊かに意味づけ、時には無意識のうちに制約しています。このパートの出品作家にはいわゆる「写真家」が一人もいません。狭義の「写真」の専門性の外側にあって、「表現」や「作品」を意識せず、一見遊びのような好奇心の向くまま目の前の世界に目を向け、人とコミュニケートしていく。写真をツールにして、今ここにある日常を冒険に変える可能性は未だあるはずです。そういった領域には何か自由でオルタナティブな「写真論」の姿や、現代的なプライベートの形が鮮やかに見えてくるのではないでしょうか。そのような「ゼロ年代」の写真のありようを巧みに表象する作品/プロジェクトをここでは紹介します。



(1995年結成、アーティスト・ユニット、日本)



セカンドプラネット
カラスのプロジェクト(仮称) 2006年
Second Planet
Project Crow (tentative) 2006


1995年、北九州にて結成された宮川敬一と外田久雄によるアーティスト・ユニット。都市空間を使った多数のアートプロジェクトを企画・運営する。 1997年にGallery SOAPをオープンし、国内外のアーティスト、ミュージシャン等と、さまざまなコラボレ−ション・プロジェクトを展開。アーティスト活動の他、社会学者、哲学者、都市計画者、美術批評家等さまざまなジャンルの人々を巻き込んだ、カンファレンス、展覧会、ワークショップなどをGallery SOAP、名古屋芸術大学、神戸アートビレッジ・センター、福岡県立美術館などで開催している。
本展では、「風景」や「カラス」をモチーフにした、携帯メールでの一般参加による新作プロジェクトを出品。
通信ネットワークを活用して、異なる場所、出来事に新たな関係性を探り出し、日常を再発見する。



セカンド・プラネットのホームページでは、 展覧会出品作品のwebバージョンが公開されています。皆様にご参加・ご協力いただいて制作している『風景のプロジェクト』は『東京ープラハ』というタイトルとなり、ここでデモ画像をご覧いただくことができます。 その他にも、展示予定の彼らの新作を紹介しています。



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(1958年生まれ、日本)



みうらじゅん
勝負(そんな夜もあっていいじゃない)
写真集「アイノカテゴリー」より、2005年
Jun Miura
From the series Ai-no-Category, 2005


武蔵野美術大学卒。在学中に月刊漫画『ガロ』でデビュー。イラストレイター、エッセイスト、漫画家、ミュージシャン、プロデュース業他。著書多数。 1997年には造語「マイブーム」が流行語大賞を授賞する。写真に関する活動としては、日本各地を回り、撮りためた写真をネタに、いとうせいこうとトークライブをする「ザ・スライドショー」を1996年よりシリーズで開催。2005年には初の写真集『アイノカテゴリー』(ぴあ株式会社)を出版。全国をフィールドワークし、珍奇なもの、一見取るに足らないと思われる様々な事物を採集、膨大な「バカネタ」を写真の形で、対象への愛情と独創に満ちあふれたカテゴライズや 意味づけにより提示する。並はずれた好奇心、仕事や趣味の区別のないライフワーク的な探求心から繰り出される「ネタ」の数々が呼び起こす笑いは、われわれが通常もつ既成の意味や価値の枠組みを、全く予想しない「下らなさ」「バカバカしさ」によって揺るがせる力をもっている。



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(1992年結成、オーストリアはじめ世界各地)



ロモグラフィー
「ロモグラフィック・イメージ・バンク」より 2003年
Lomography
From“Lomographic Image Bank”,
2003 CLomographic Society International


80年代に共産主義体制下のソ連で開発されたコンパクトカメラLOMO LC-Aを90年代にウィーンの若者たちが「発見」し、このカメラを実践的に活用・普及したことによって始まった写真運動。ウィーンにある団体 [LOMOGRAPHIC SOCIETY]を中心にして、世界各地の「ロモグラファー」たちがSHOOT FROM THE HIP(ローアングルからのノーファイダー)と称されるフリースタイルの撮影と、出来上がった写真を見せる/見る/展示する/学習することによるコミュニケーションを生活の中で楽しむ活動を展開している。超アナログな写真の味わいをもつLOMOやトイカメラの魅力は、日本においても急速な写真のデジタル化に反比例するかのごとく、近年多くの若者層を引き寄せている。写真においてアナログが実用性から解放された時、玩具としての側面がクローズアップされ、遊びの感覚や出来上がったものが思いも寄らないという意外性が、新鮮な写真体験を生んでいると言えよう。このようなアナログ・カメラブームを象徴的に視覚化したプロジェクトとして、本展では、運動体としてのLOMOGRAPHYを取り上げる。世界各地の「ロモグラファー」たちが日常生活のなかで撮影したスナップショットをグラフィカルに構成した「ロモウォール」を、[LOMOGRAPHY JAPAN]の協力を得て展示する予定。



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※掲載されている作品図版は、出品作品と異なる場合があります。


展覧会図録

私のいる場所:新進作家展vol.4 : ゼロ年代の写真論

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