球体写真二元論: 細江英公の世界
2006.12.9(土)—2007.1.28(日)
- 開催期間:2006年12月9日(土)~2007年1月28日(日)
- 休館日:毎週月曜日(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日)※年末年始休館:12月29日-1月1日
- 料金:一般 500(400)円/学生 400(320)円/中高生・65歳以上 250(200)円
- ※各種カード割引あり
( )は20名以上団体、当館の映画鑑賞券ご提示者、上記カード会員割引(トワイライトカードは除く)/
小学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料/第3水曜日は65歳以上無料
東京都写真美術館では、重点収集作家の個展を毎年開催してまいりましたが、その一環として、平成18年度は細江英公の活動を振り返る写真展を開催いたし ます。
細江英公は、1950年代後半から本格的に写真に取り組み、1960年前後に写真展「10人の眼」や写真家によるセルフエージェンシー「VIVO」などでの作家活動を通じて、日本の戦後写真に新しい表現のあり方を指し示しました。実質的なデビュー作というべき「おとこと女」、作家三島由紀夫をモデルにした「薔薇刑」や舞踏家土方巽とのコラボレーションによる「鎌鼬(かまいたち)」などの作品は、そのユニークな写真的表現性によって日本の1960年代を代表するにとどまらず、国際的に同時代を代表するものとして高く評価されています。そして70年代以降今日に至るまで、旺盛な作家活動は止むことなく、数々の話題作を世に送り出してきています。
本展は、そのときどきに出版されてきた写真集に注目して、多彩な作家活動の軌跡をたどろうとするものです。最初の写真集である『おとこと女』(1961)にはじまり、『薔薇刑』(1963)、『鎌鼬』(1969)、『抱擁』(1971)、『ガウディの宇宙』(1984)、『土方巽舞踏大鑑』(1989)、最新の写真集である『胡蝶の夢舞踏家・大野一雄』(2006)までの7冊から代表作を選び、その世界を再構成いたします。さらに、近年になって日本語版として復刊された『たかちゃんとぼく』(1997)、『おかあさんのばか』(2004)の2冊と『[妖精物語]ルナ・ロッ サ』(2000)によって、「写真絵本」の世界を構成いたしました。これはこれまでの個展では紹介されてこなかった「ロマンチストで現代叙情派」を自認する作家のもうひとつの側面にスポットをあてようとするものです。そこでは、細江英公という多彩な写真的才能の本質が決して一元的なものではなく、また写真のネガ/ポジの関係のように対立するものとしてあるのでもなく、無限の多元性をもつ「球体」ように統合された存在としてあることがみてとれることでしょう。
東京では5年ぶりとなる細江英公の個展を、是非この機会にお楽しみください。
※展示作品数:写真作品195点および資料
【左】土方巽「骨餓見峠死人葛」より新宿アートシアター(新宿文化)にて 1970年
【中】鎌鼬 #8 1965年
【右】突然 大野一雄の足が消えた……1996年12月16日 埴谷雄高宅 武蔵野市吉祥寺 1996年


【左】『おかあさんのばか』(窓社2004年)
【右】『たかちゃんとぼく』(小学館1997年)