本日は開館しております(10:00-18:00)

総合開館30周年記念 ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ 特集上映

1F ホール

2025.11.2712.7

  • 上映期間:2025年11月27日(木)~12月7日(日)
  • 休映日:12月1日(月)

東京都写真美術館では、総合開館30周年を記念して、ポルトガルを代表する映画監督ペドロ・コスタ(1958–)による展覧会、「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」を開催いたします。日本最大規模で東京では初めてとなる美術館での本個展にあわせて、美術館1 階ホールにて、コスタ監督の初期作品から最新作まで主要作品を含む11プログラムを特別に上映します。コスタの映画世界への理解を一層深める貴重な機会となるでしょう。 
※『ヴァンダの部屋』および『コロッサル・ユース』は、初公開時の35mm上映です。

展覧会ページはこちら

■料金●当日券(座席指定券)
○ 一般 1,800円
○シニア(60歳以上)1,500円
○ 学生(大学・専門学校生)、高校生、中学生以下(3歳以上) 1,000円
○障害者手帳をお持ちの方(介護者2名まで)1,000円
※3歳未満のお子様に座席が必要な場合は料金(中学生以下)をいただきます。(保護者のお膝の上でのご鑑賞の場合は無料)

[各種割引] 以下の方は当日料金が割引になります。
○「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」展覧会のチケットのご提示で1,000円(一般800円引き、60歳以上500円引き)になります。
(展覧会チケット1枚につき1回の割引)
○当館で開催の展覧会(「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」をのぞく)、映画の半券のご提示で1,500円になります。
(半券1枚につき1回の割引)
○ 当館年間パスポート提示(同伴者1名まで) 1,500円
○(公財)東京都歴史文化財団が管理する施設の友の会会員証・年間パスポート提示 1,500円
○ JRE CARD(クレジットカード)提示 1,500円
○ 当館が発行する映画優待割引券(支援会員)提示 1,500円
※各種割引の詳細はご利用案内をご参照ください。
※各種割引の併用はできません。

・全席指定 ・各回定員入替制/立ち見不可/事前予約不可
・ご鑑賞当日午前10:00より、その日の全ての上映回について受付を開始いたします。
・満席の場合、ご入場をお断りいたしますので、予めご了承ください。
・開場は各上映開始時間の10分前を予定しています。


上映作品|※全プログラム日本語字幕付き

1『血』4Kレストア版
英題:Blood 原題:O Sangue


青年ヴィンセントは病に苦しむ父親を安楽死させ、墓地に埋める。父親の消息に疑問を持った伯父は青年の許にやってきて弟を連れ去ってしまった。一方、父親の負債の返済を求めて二人組が現れる。弟を取り返すべく動く青年を二人組が追っていく……。ペドロ・コスタ長編第1作となる本作はフィルムノワール的風貌を見せつつ、瑞々しく輝く画面が観る者を魅了する。

ポルトガル/1989年/ポルトガル語/モノクロ/DCP/99分
出演:ペドロ・エストネス、ヌーノ・フェレイラ、イネス・デ・メデイロス、ルイス・ミゲル・シントラ

2『溶岩の家』4Kレストア版
原題:Casa de Lava


看護師のマリアーナは、リスボンの工事現場で意識不明となった男レオンに付き添って彼の故郷カーボ・ヴェルデに向かうが、病人とともに荒野に取り残される。島民に病院まで運んでもらうが島民の誰一人として病人のことは語ろうとしなかった……。“カーボ・ヴェルデから届いた手紙”というペドロ・コスタの鍵となるモチーフが生まれるきっかけとなった重要作。伝説的女優、エディット・スコブが特別出演している。

ポルトガル・フランス・ドイツ/1994年/ポルトガル語・クレオール語/カラー/DCP/110分
出演:イネス・デ・メデイロス、イサック・デ・バンコレ、エディット・スコブ

3『骨』4Kレストア版
原題:Ossos


赤ん坊を産んだティナはリスボン郊外にあるスラム街に戻ってくるが、夫は赤ん坊を連れて家を出て行ってしまう。彼は物乞いをし、看護婦のエドゥアルダと知り合い、彼女の家に居候するようになる。ティナの隣人クロチルドは家政婦をしているが、ある日エドゥアルダの家でティナの夫に出会う。スラム街フォンタイーニャスに住む人々を起用し、圧倒的なリアリズムで底辺の生活の厳しさを描き、高く評価された。『ヴァンダの部屋』のヴァンダも家政婦役で出演。

ポルトガル・フランス・ドイツ/1997年/ポルトガル語/カラー/DCP/98分
出演:ヴァンダ・ドゥアルテ、ヌーノ・ヴァス、マリア・リブキナ、イザベル・ルート、イネス・デ・メデイロス

4『ヴァンダの部屋』
英題:In Vanda’s Room 原題:No Quarto de Vanda


数十人の規模の映画制作に疑問を持ったコスタは小型のDVキャメラを手にフォンタイーニャスに戻り、撮影を敢行。『骨』に出演したヴァンダ・ドゥアルテとその家族を中心に、再開発が進み、パワーショベルによる破壊が進む街に暮らす人々を見つめる。小津、溝口、フォードを想起させるスタンダードサイズの画面と、街に響く破壊音の対比が強烈な印象を残し、新たなドキュメンタリー表現として多くの映画作家に影響を与えた。

ポルトガル・ドイツ・スイス/2000年/ポルトガル語・クレオール語/カラー/35mm/178分
出演:ヴァンダ・ドゥアルテ、ジータ・ドゥアルテ、レナ・ドゥアルテ、アントニオ・セメド・モレノ、パウロ・ヌネス

5『あなたの微笑みはどこに隠れたの?』
原題:Onde jaz o teu sorriso?


二人組の特異な映画作家であり夫婦でもあるジャン=マリー・ストローブとダニエル・ユイレが、1999年秋のワークショップで行った『シチリア!』第3版の編集作業の様子を収録したドキュメンタリー。映画作家の創作のプロセスや瞬間だけでなく、ときに滑稽でさえあるストローブ=ユイレ夫婦の物語や映画への愛が、膨大な議論や感情のやりとりを通じて描かれる。

ポルトガル・フランス/2001年/フランス語/カラー/35mm/104分
出演:ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ

6『コロッサル・ユース』
英題:Colossal Youth 原題:Juventude em marcha


『ヴァンダの部屋』のスラム街は取り壊されて、ヴァンダは新しい集合住宅に移り住んで夫と子どもと暮す。カーボ・ヴェルデから移り住み34年間、フォンタイーニャス地区に住んできたヴェントゥーラ。妻に去られた後、まだ残るスラム街と新築住宅を行き来し“子どもたち”を訪ねる。過去と現在を縦横無尽に交錯させながら、彷徨える魂を描き出す。ヴェントゥーラが繰り返し口ずさむ手紙が感動を呼ぶ。

ポルトガル・フランス・スイス/2006年/ポルトガル語・クレオール語/カラー/35mm/155分
出演:ヴェントゥーラ、ヴァンダ・ドゥアルテ、ベアトリズ・ドゥアルテ、イザベル・カルドーゾ

7『何も変えてはならない』
原題:Ne change rien


『そして僕は恋をする』(アルノー・デプレシャン)や『恋ごころ』(ジャック・リヴェット)などに主演し、フランス映画作家たちのミューズとして知られるジャンヌ・バリバール。彼女の歌手としての活動を、リハーサルやレコーディング、コンサートやレッスン、曲は《ジョニー・ギター》からオッフェンバックの《ペリコール》まで、舞台をフランスの村落にある屋根裏部屋から東京のライブハウスへと移しながら、独自の視点で映画にした。

ポルトガル・フランス/2009年/フランス語/モノクロ/35mm/103分
出演:ジャンヌ・バリバール、ロドルフ・ビュルジェ

8『ホース・マネー』
英題:Horse Money 原題:Cavalo Dinheiro


主人公に再び『コロッサル・ユース』のヴェントゥーラを迎え、リスボンのスラム、フォンタイーニャス地区で暮らした人々との映画作りは『ヴァンダの部屋』以降さらなる展開を遂げた。ヴェントゥーラ自身のカーボ・ヴェルデからの移民の体験をもとに、カーネーション革命や植民地支配からの独立などの近代史を背景に、ポルトガルに暮らすアフリカからの移民の苦難の歴史と記憶を、一人の男の人生の終焉とともに虚実入り混じった斬新な手法で描く。

ポルトガル/2014年/ポルトガル語・クレオール語/カラー/DCP/104分
出演:ヴェントゥーラ、ヴィタリナ・ヴァレラ、ティト・フルタド

9『ヴィタリナ』
原題:Vitalina Varela


一人、カーボ・ヴェルデからリスボンにやってきたヴィタリナ。彼女は出稼ぎに行った夫がいつか自分を呼び寄せてくれると信じて待ち続けていた。しかし、夫は数日前に亡くなり、すでに埋葬されていた。ヴィタリナは亡き夫の痕跡を探すかのように、移民たちが暮らす街にある、夫が住んだ部屋に留まる決意をする。そして、その部屋の暗がりで自らの波乱に満ちた人生を語り始める―。

ポルトガル/2019年/ポルトガル語・クレオール語/DCP/130分
出演:ヴィタリナ・ヴァレラ、 ヴェントゥーラ マヌエル・タヴァレス・アルメイダ、フランシスコ・ブリト、マリナ・アルヴェス・ドミンゲス、ニルサ・フォルテス

10【短編集1】
『六つのバガテル』
原題:6 Bagatelas


ストローブ=ユイレを撮影した『あなたの微笑みはどこに隠れたの?』の未使用カットからなる6つの場面によって構成された嬉遊曲(ディヴェルティメント)。

ポルトガル・フランス/2002年/フランス語/カラー/ビデオ/18分
共同監督:ティエリー・ルナス
出演:ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ

『タラファル』
原題:Tarrafal


ポルトガルによって建設された政治犯用の強制収容所が存在した土地タラファル(カーボ・ヴェルデ)をめぐって語られる土地と家族の運命。

ポルトガル/2007年/ポルトガル語・ク レオール語/カラー/ビデオ/16分
出演:ヴェントゥーラ、イザベル・カルドーゾ、ヴァンダ・ドゥアルテ

『火の娘たち』
英題:The Daughters of Fire 原題:As Filhas do Fogo


カーボ・ヴェルデのフォゴ火山噴火で離散した若い三人姉妹。彼女たちは「いつの日か知るだろう、私たちがなんのために生きて、なぜ苦しむのかを」と唄う……。

ポルトガル/2023年/カーボ・ヴェルデ・ クレオール語/カラー/DCP/8分
出演:エリザベス・ピナール、アリス・コス タ、カリーナ・ゴメス

11【短編集2】
『うさぎ狩り』
原題:The Rabbit Hunters


『コロッサル・ユース』のヴェントゥーラが語り部を演じ、故郷という土地を巡る人間関係の過去と現在が交錯する。

韓国・ポルトガル/2007年/ポルトガル 語・クレオール語/カラー/ビデオ/23分
出演: アルフレッド・メンデス、ヴェントゥ ーラ、ジョゼ=アルベルト・シルヴァ

『わたしたちの男』
英 題:Our Man 原題:O Nosso Homem


未踏の故郷であるカーボ・ヴェルデについて思いを馳せる青年アルベルト。異なる望郷の想いを抱える初老のヴェントゥーラ。人生と死における希望と絶望の狭間を探索する。

ポルトガル/2010年/カラー/Bluray/ 26分
出演:ジョゼ=アルベルト・シルヴァ、ル シンダ・タヴァレス、アルフレッド・メンデ ス ヴェントゥーラ


上映スケジュール(PDFはこちら[2.63Mb])

★上映終了後にアフタートークの予定あり
※12.5(金)『溶岩の家』は17:00からの上映

協力:アテネ・フランセ文化センター、アイ・ヴィー・シー

関連イベント

上映アフタートーク
11月28日(金)15:30 の回 
登壇者:アンディ・レクター(映画評論家、プログラマー)
※オンライン、英日通訳付き

11月30日(日)15:30 の回
登壇者:ペドロ・コスタ(出品作家)
※オンライン、英日通訳付き

12月5日(金)17:00 の回
登壇者:松田美緒(歌手)

12月6日(土)15:30 の回
登壇者:北小路隆志(映画評論家、京都芸術大学教授)

※チラシ等でご案内しておりました 12月7日(日) のペドロ・コスタ氏によるアフタートーク(オンライン)は、作家の都合により 11月30日(日)15:30の回上映後に変更となりました。
なお、12月7日(日)15:30の回上映後には、11月30日(日)に実施したアフタートークの録画映像をご覧いただけます。