総合開館30周年記念 ルイジ・ギッリ(仮称)
2025.7.3(木)—9.28(日)
- 開催期間:2025年7月3日(木)~9月28日(日)
- 休館日:毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)
- 料金:未定
私は写真を作りたかったのではなく、写真であると同時に地図や設計図を作りたかったのです。
―― ルイジ・ギッリ
石、教会、ジェスチャー、光、霧、霜に覆われた枝、青い海、これらの場所を次々と並べていくと、
一種のシークエンスが作り出される。そして私たちを位置づける地理的秩序もスケールもなく、
モニュメント、光、思考、オブジェクト、瞬間が絡み合った、手に負えないほどの図形となる。
まるで、それらがあらゆる方角を示す想像上のコンパスの針であるかのように。
―― ルイジ・ギッリ
欧米での個展開催やドキュメンタリー映画の発表など、近年国際的に注目されるイタリアの写真家、ルイジ・ギッリ(1943-1992)のアジア初の美術館個展を開催します。ギッリはその類まれな色彩、空間、光への美的感覚と、ありふれたものをユーモラスに視覚化する才能によって、写真表現を新たなレベルへと引き上げました。
現実とイメージ、在と不在、外界と内なる世界、それぞれを同じレベルで見つめ、その調和や多義性を視覚化するギッリの写真は、写真が世界のあるがままの複製ではなく「見られた」世界の断片の集合であり、眼差しの証明であることを示しています。そして、どのようにイメージを通して世界や社会を考えるかという無限の問いを私たちに投げかけてきます。
毎日のようにニュースに流れてくる紛争の映像、パンデミックによる不確かな日常、サステナブルな在り方が問われる社会、SNSで流れる広告やライフスタイル。様々なことが起こり続ける私たちの生活には、常にあらゆるイメージが存在しています。ギッリはどのようにこのイメージと現実を見つめてきたのか。軽やかでありながら密度をもって問いかけています。
作家プロフィール
ルイジ・ギッリ(1943-1992)
イタリアのレッジョ・エミリア県スカンディアーノ生まれ。アーティストたちとの共同制作をきっかけに写真を始め、ウジェーヌ・アジェ、ウォーカー・エヴァンス、アンドレ・ケルテスらの影響を受け、1973年より本格的に写真制作をし、実験的な写真表現を探求する。写真家、キュレーター、ライター、出版など多岐にわたり活動。