本日は開館しております(10:00-18:00)


下岡蓮杖(梅の枝を活ける女性)
文久3(1863)年-明治9(1876)年頃 鶏卵紙 東京都写真美術館蔵 
※後期のみ展示(4月7日(月)に展示替えを行います)

3F 展示室

没後百年 日本写真の開拓者 下岡蓮杖

2014.3.45.6火・振休

  • 開催期間:2014年3月4日5月6日火・振休
  • 休館日:毎週月曜日(ただし4月28日、5月5日は開館。5月7日は臨時休館)
  • 料金:一般 700(560)円/学生 600(480)円/中高生・65歳以上 500(400)円
  • ※各種カード割引あり

( )は20名以上団体、当館の映画鑑賞券ご提示者、上記カード会員割引(トワイライトカードは除く)/
小学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料/第3水曜日は65歳以上無料

本展は日本の初期写真史において最も重要な写真師の一人である下岡蓮杖(しもおかれんじょう)(1823-1914)が制作した写真作品、日本画作品を中心に展覧し、日本写真文化の礎を築いた蓮杖の足跡をたどる大回顧展です。その長命な生涯について、最も体系的に記された口述筆記『写真事歴』(山口才一郎筆記、1894年、写真新報社)は、長年信憑性が低いものと理解されてきましたが、近年の研究によって再評価されています。本展は、この『写真事歴』を軸に、下岡蓮杖の生涯を実作品の展示によってひもとく、日本初の試みです。

~下岡蓮杖とは~

日本の写真開祖の一人。日本人初の営業写真師は鵜飼玉川(うかいぎょくせん)の方がわずかに早いが、横山松三郎、臼井秀三郎、鈴木真一など多くの弟子を輩出した開祖と呼ぶべき人物です。伊豆下田に生まれ、13歳の頃に画家を目指し、江戸狩野派絵師・狩野董川(とうせん)の弟子となり、董圓(えん)の号を得るまでに至ります。絵師としての生活で写真と出会います。1859年に横浜が開港すると、アメリカの貿易商ショイヤーと関わり、その妻や宣教師の娘「ラウダ」に油彩画の手ほどきを受け、アメリカ人写真師ジョン・ウィルソンから写真技術を学びます。1862年に開業するも、当初は技術的な面や薬剤の調合などが難しく苦労します。やがて技術も安定し、同年中に弁天町に写真場を増やすと『横浜奇談』(1864年)に写真師として唯一載るなど知名度を上げていきました。馬車道をはじめ2軒の支店を出し、1875年頃まで写真師として第一線で活躍しました。その後は東京・浅草へ移り、写場背景画の制作をする傍ら多くの日本画作品を制作し、写真とは異なる手業の画面制作へ情熱を傾けていきました。

下岡蓮杖 「昌平橋」 『下岡蓮杖・臼井秀三郎アルバム』より
慶応4(1868)年頃 鶏卵紙 一般財団法人日本カメラ財団蔵

弟子の横山松三郎の「旧江戸城写真帳」の制作に同行したと考えられる。撮影地の記載方法が独特であり、『アサヒグラフ』写真百年祭記念号(大正14[1925]年)にも掲載がある。蓮杖の江戸の捉え方を知る作例。

a)(下岡蓮杖納品袋) 沼津市立
明治史料館蔵 文久3(1863)年頃

b)下岡蓮杖名刺判 裏面のスタンプ
慶応3(1867)年頃 東京都写真美術館蔵

蓮杖は「富士山聳(そび)え、其下に茅屋(ぼうおく)あり、大樹傍(かたわ)らに生じ、一壷あり、其中央に懸り蛇ありて壷を窺(うかが)ふ」という夢を見たことから、この意匠を決めたという。のちに、蛇は人類に薬を教えたものだと宣教師から聞いた。薬は写真にとって欠かせないもので、以後なお喜んで用いた。aは、弁天町の時代に使用したもので、bは太田町に移転して以降、長らく名刺判の裏面に押されて使用される意匠。比較するとbの線が巧みに整理されている事がわかる。

下岡蓮杖(酒を酌み交わす三人の職人)
下岡蓮杖(傘を差す少女)
すべて文久3(1863)年-明治9(1876)年頃 鶏卵紙 東京都写真美術館蔵

約150点に及ぶ蓮杖の名刺判写真は、風俗、風景、肖像の3つのモチーフからなる。また、同図で着彩と無着彩のものもあり、蓮杖が販売した名刺判を知るには最適な作品群である。

下岡蓮杖 「琴棋書画図屏風」 紙本着彩・四曲半双 大正元(1912)年
神奈川県立近代美術館蔵

四曲半双の屏風絵。92歳の筆であると明記された作例。それを疑いたくなるほど強くブレのない筆致で描かれており、晩年においてもまったく衰えを見せない蓮杖の画力を堪能できる。

下岡蓮杖「木村政信像」 文久2(1862)年 アンブロタイプ 東京都写真美術館蔵

文久2年の年記があり、蓮杖が開業した時期を知る上で重要である。桐箱に収められる一般的な様式と異なり、無着彩の木製額に収められる点も、最初期の日本の写真を知る上で意義深い。

出品作品

東京都写真美術館蔵の下岡蓮杖名刺判写真(鶏卵紙・鶏卵紙に手彩色)を加えた280点を前後期に分けて展覧します。蓮杖の開業時期の制作と考えられる≪木村政信像≫(アンブロタイプ)、≪吉田庸徳像≫(アンブロタイプ、行田市指定文化財)、『下岡蓮杖・臼井秀三郎アルバム』(鶏卵紙・JCII蔵)もあわせて展示します。



□主催:東京都 東京都写真美術館/読売新聞社/美術館連絡協議会
□協賛:ライオン/清水建設/大日本印刷/損保ジャパン/日本テレビ放送網
□協力:下田商工会議所

関連イベント

パネルディスカッション「下岡蓮杖~作品とその生涯~」
2014年4月13日(日) 14:30~16:00  終了致しました

登壇者:森重和雄(初期写真研究家)、石黒敬章(ゆうもあくらぶ事務局長、日本写真芸術学会評議員)
斎藤多喜夫(写真研究家・横浜開港資料館元調査研究員)
司会:三井圭司(東京都写真美術館学芸員)
会場:東京都写真美術館 1階ホール(定員190名)
※展覧会チケットの半券をお持ちの方は、どなたでもご参加いただけます。
※当日10:00より当館1階受付にて整理券を配布いたします。[番号順入場、自由席]

古典技法ワークショップ「デジタル写真を使った鶏卵紙プリント」
2014年4月19日(土) Aコース 10:00~17:00  終了致しました
2014年4月20日(日) Bコース 10:00~17:00  終了致しました
参加者が撮影した携帯写真などを元にデジタルネガを作成し、感光性の付与から画像の焼付け・定着まで19世紀に行われていた写真制作のプロセスを実際に体験します。※詳細はワークショップページをご覧ください。
担当学芸員によるフロアレクチャー
2014年3月14日(金) 14:00~  終了致しました
2014年3月28日(金) 14:00~  終了致しました
2014年4月11日(金) 14:00~  終了致しました
2014年4月25日(金) 14:00~  終了致しました
※本展覧会の半券(当日有効)をお持ちの上、会場入口にお集まりください。
英語フロアレクチャー
2014年4月6日(日) 14:00~  終了致しました
2014年5月1日(木) 18:00~  終了致しました
ネイティブスピーカーによる展示解説を行います。
解説者:アリス・ゴーデンカー(「ジャパンタイムズ」記者)
※本展覧会の半券(当日有効)をお持ちの上、会場入口にお集まりください。
ゴールデンウィーク特別フロアレクチャー(前半)
2014年4月28日(月) 16:00~  終了致しました
2014年4月29日(火・祝) 16:00~  終了致しました
ゴールデンウィーク特別フロアレクチャー(後半)
2014年5月3日(土・祝) 16:00~  終了致しました
2014年5月4日(日・祝) 16:00~  終了致しました
2014年5月5日(月・祝) 16:00~  終了致しました
2014年5月6日(火・振休) 16:00~  終了致しました
※本展覧会の半券(当日有効)をお持ちの上、会場入口にお集まりください。

展覧会図録

没後百年 日本写真の開拓者 下岡蓮杖
下岡蓮杖について最も体系的に記された口述筆記『写真事歴』の現代語訳版を収録した本展公式ガイドブックを出版いたします。全編和英、B5判 235ページ 発行:国書刊行会

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