本日は開館しております(10:00-18:00)

津島 岳央 《Allegory of Media Art》 2006年
B1F 展示室

映像をめぐる冒険vol.3 3Dヴィジョンズ

-新たな表現を求めて-

2010.12.212011.2.13

  • 開催期間:2010年12月21日2011年2月13日
  • 休館日:毎週月曜日(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日)
  • 料金:一般 500(400)円/学生 400(320)円/中高生・65歳以上 250(200)円
  • ※各種カード割引あり

( )は20名以上団体、当館の映画鑑賞券ご提示者、上記カード会員割引(トワイライトカードは除く)/
小学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料/第3水曜日は65歳以上無料

東京都写真美術館開館以来の映像部門基本コンセプトである5つのテーマ「イマジネーションの表現」「アニメーション」「立体視」「拡大と縮小」「記録としての映像」について、毎年ひとつずつ取り上げ、収蔵作品を中心に、多彩な特別展示とあわせて構成していくシリーズ企画 [映像をめぐる冒険]。3回目となる今年は、3D映画などで使われている視覚原理「立体視」がテーマです。平面にあるはずの画像が飛び出して見える立体視ですが、今回は3D映画やアトラクションのようなスペクタクル性を追求するのではなく、立体視という表現手法に何が可能なのかを検証します。19世紀中頃から近代までの原始的な立体写真や立体視装置と共に、立体視を利用した現代の作品を展示し、表現手法としての立体視を多角的に検証します。さらに、そうしたメディア探求から生まれる表現の一つの到達点として、メディアアーティスト藤幡正樹の作品を展示します。



《クリスタル・パレス》 ネグレッティ&ザンブラ社 1851-1852年頃


§第1章 立体視・浮遊する視覚

絵画の世界では、奥行きを表現するために空気遠近法や一点透視図法など様々な手法が試みられてきました。19世紀中頃になると右目と左目の視野のずれを利用し、立体的に奥行きを表現する立体視の原理と装置が発表されました。立体視のこれまでの平面的な奥行き表現を超えた新しい立体感は、人々に驚きを与え広く普及していきました。第1章では 1851年にロンドン万博で紹介されたクリスタルパレスの立体写真など初期立体写真にとって重要な作品や資料を紹介します。
あわせて、CGなど現代のテクノロジーと初期立体視の仕組みを組み合わせた津島岳央の新作を展示します。


津島 岳央 《Allegory of Media Art》 2006年

▲津島 岳央(つしま たかひろ)/1981年大阪府生まれ。
東京芸術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。
フェルメールの絵画空間を CGと立体視を用いて多視点で捉えなおす《Allegory of Media Art》が、文化庁メディア芸術祭などで高評価を受ける。


§第2章 メカニズムへの焦点

立体視のメカニズム自体は非常にシンプルなものなので、それを利用した様々な装置が生み出されてきました。第2章では、立体的なスライドショーを見ることが出来る玩具 ビューマスターや赤青メガネをかけると絵が飛び出して見えるアナグリフ、その他ステレオカメラやステレオビュワーなど20世紀中頃までの装置を多数紹介し、立体視効果を利用するための様々な仕組みを検証します。
あわせて、アナグリフの仕組みを利用し、自分の影を立体的に見せてくれる五島一浩の《STEREO SHADOW》および新作を展示します。 最も原始的な映像体験である影の動きが立体的に見える様をお楽しみください。


左)ブリュースター型ステレオビュワー 1850年
右)五島 一浩 《STEREO SHADOW》 2008年

▲五島 一浩(ごしま かずひろ)/1969年静岡県生まれ。
代表作のモノクロCGアニメーション《FADE into WHITE》シリーズ他CGアニメーション作品、映像作品多数。ロカルノ映画祭など海外でも高く評価されている。
現在、岡山県立大学、イメージフォーラム映像研究所非常勤講師を務める。


§第3章 新たな表現を求めて

第3章では、コンピュータやモバイル機器など様々なテクノロジーが生活に定着した現代における、立体視を使った表現の一つの到達点として、藤幡正樹の「Field-works」シリーズを紹介します。「Field-works」は、世界各地で、ひとびとの活動とその場所を同時に記録することをテーマに行われてきました。藤幡はGPS(地球上の現在位置を調べるための衛星測位システム)とビデオカメラを持ってフィールドワークを行い、リニアな映像記録を撮影しながら、同時にGPSで移動の軌跡を記録。両者をコンピュータ上で対応させ、3D技術を用いて提示することで、全く新しいビデオアーカイブを作り出します。今回展示される《故郷とは? ジュネーヴにて/Landing Home in Geneva》は、ジュネーヴへ移住して通訳として働く人々に取材したものです。GPSが記録する客観的な情報と、全方位カメラで撮影した個人的な物語や交流の軌跡が掛け合わされることで、国際都市としてのジュネーヴが持つ場所性が浮き彫りにされます。


藤幡 正樹 《故郷とは? ジュネーヴにて/Landing Home in Geneva》 2005年

▲藤幡 正樹(ふじはた まさき)/1956年東京都生まれ。
80年代はコンピュータ・グラフィックスのパイオニアとしてSigGraphなどでアニメーション作品を発表。89年から慶應義塾大学環境情報学部で教鞭を執る傍ら《Beyond Pages》などのインタラクティブな作品をつぎつぎと発表。
現職、東京芸術大学大学院映像研究科科長。

□ 主催:東京都 東京都写真美術館/産経新聞社
□ 支援:文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業 
□ 助成:公益財団法人 野村財団
□ 協賛:凸版印刷株式会社
□ 協力:NECディスプレイソリューションズ株式会社 
□ 後援:サンケイスポーツ/夕刊フジ/フジサンケイビジネスアイ/iza!/SANKEI EXPRESS

関連イベント

スペシャル・ライブ「Visual & Sound Programming for 3D」
2010年12月23日(木・祝) 19:00~  終了致しました

 出演:比嘉 了(アーティスト・プログラマー)、鈴木英倫子(造形作家・音楽家)、谷口暁彦(アーティスト)
会場:2階ラウンジ
※どなたでもご参加いただけます。

アーティスト・トーク(作家による作品解説)
2011年1月6日(木) 18:30~五島一浩  終了致しました
2011年1月20日(木) 18:30~津島岳央  終了致しました
2011年1月28日(金) 18:30~藤幡正樹  終了致しました

会場:地下1階展示室 ※1/28の会場は1階アトリエに変更となりました
※2011年1月20日(木)はゲストに原田大三郎(多摩美術大学教授)を迎えます。
※展覧会チケットの半券(当日有効)をお持ちの方は、どなたでもご参加いただけます。

担当学芸員によるフロアレクチャー
2010年12月24日(金) 16:00~  終了致しました
2011年1月14日(金) 16:00~  終了致しました
2011年1月28日(金) 16:00~  終了致しました
2011年2月11日(金・祝) 16:00~  終了致しました
※本展覧会の半券(当日有効)をお持ちの上、会場入り口にお集まりください。
スペシャルナイト in 写美 (入場無料)
2010年12月24日(金) 17:30~20:00  終了致しました

12月24日(金)の夜間開館(17:30~20:00)は
すべての展覧会が入場無料になります。
どうぞこの機会に、写真美術館の夜間開館をお楽しみください。
(閉館は20:00となりますので、お早めのご入場をお願いいたします)

※クリスマスライブのご案内
ギタリストのダニエル・コフリンさんがクリスマスライブを開催します。
日時:12月24日(金)18:30~ 鑑賞無料
会場:2階エントランスロビー
演奏:ダニエル・コフリン(ギター)
※詳細はこちらをご覧ください。

新春特別フロアレクチャー
2011年1月2日(日) 14:00~  終了致しました
2011年1月3日(月) 14:00~  終了致しました

担当学芸員が展示をわかりやすく解説します。
※1月2日(日)は、どなたでもご参加いただけます。
※1月3日(月)は、本展覧会の半券(当日有効)をお持ちの上、会場入り口にお集まりください。

展覧会図録

映像をめぐる冒険vol.3 3Dヴィジョンズ 新たな表現を求めて
展覧会の主な出品作品、出品作家と担当学芸員によるテキストを掲載しています。
B5判 95ページ 発行:東京都写真美術館

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