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「しなやかな闘い ポーランド女性作家と映像 1970年代から現在へ」展

Ⅰ.限られたアクセスのなかでーパイオニア世代の映像実験 1970-80年代
作品紹介


第Ⅰ章では、1989年ベルリンの壁崩壊の以前(1970~80年頃)に、映像による制作をおこなったパイオニアと呼ぶべき女性作家9名の作品を紹介します。 社会主義圏にあった当時のポーランドでは表現の自由が厳しく制限されていましたが、映像メディアに可能性を見出した彼女たちの作品には、以後の時代につながるさまざまな表現手法が芽生えました。

第Ⅱ章で紹介するカロル・ラヂシェフスキ(1980‐)のドキュメンタリー作品《アメリカは準備ができていない》(2012)でフェミニズムの鋭い表現に焦点が当てられたナタリア・LL(1937‐)は、この時代を代表的する女性作家の一人です。本展ではエロティックな主体となる女性の身体を表現した映像作品《インプレッションズ》(16mmフィルム 1973)と、バナナを食べるしぐさで物議を醸した《消費者アート》(写真作品 1972)を紹介します。 また近年、国際的に再評価が高まるエヴァ・パルトゥム(1945‐)は、コンセプチュアルな作品を精力的に制作しましたが、映像をいちはやく活用した作家の一人でもありました。出品作の《ドローイングTV》(8mmフィルム 1976)は、放送中のテレビ画面に直接、線を描くというアクション(行為)を、フィルムで撮影した実験映像です。

そのほか、このセクションではヴィデオカメラをつかって作品を制作したポーランドで最初の女性作家であるヨランタ・マルコラ(1950‐)や、映像メディアによる表現を野心的に試みたヤドヴィガ・ジンゲル(1952‐2008)、バルバラ・コズウォフスカ(1940‐2008)、 イザベラ・グストフスカ(1948‐)、アンナ・クテラ(1952‐)、テレサ・ティシキェヴィチ(1953‐)、 イヴォナ・レムケ=コナルト(1958‐)の作品や記録写真を展示します。


エヴァ・パルトゥム Ewa Partum 《ドローイング TV》 1976年 Drawing TV, 1976 Courtesy of the artist


ヨランタ・マルコラ Jolanta Marcolla 《キス》 1975年 Kiss, 1975 Courtesy of Jolanta Marcolla and Arton Foundation, Warsaw


ヤドヴィガ・ジンゲル Jadwiga Singer 《ジ・エンド、ジ・エンド 》1979年 The End, The End, 1979 Courtesy of Arton Foundation and Artis's Family


バルバラ・コズウォフスカ Barbara Kozłowska 《視点》 1978年 Point of View, 1978 Courtesy of Zbigniew Makarewicz


イザベラ・グストフスカ Izabella Gustowska 《相対的類似性》 1980年 Relative Similarities, 1980 Courtesy of Izabella Gustowska and Arton Foudation, Warsaw


アンナ・クテラ Anna Kutera 《対話》 1974年 Dialog, 1974 Courtesy of the artist


イヴォナ・レムケ=コナルト Iwona Lemke Konart 《人間の可能性の限界》 1984年 The Limit of Human Possibilities, 1984 Courtesy of the artist

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