本日は開館しております(10:00-20:00)
「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」展メインイメージ
映画『ホース・マネー』2014年より
B1F 展示室

総合開館30周年記念 ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ

2025.8.2812.7

  • 開催期間:2025年8月28日12月7日
  • 休館日:毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)
  • 料金:一般 800(640)円/学生 640(510)円/高校生・65歳以上400(320)円 ※( )は有料入場者20名以上の団体料金、当館映画鑑賞券提示者および各種会員割引料金。※中学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者(2名まで)は無料。第3水曜日は65歳以上無料。※学生、高校生・65歳以上の方、各種お手帳をお持ちの方は、いずれも証明できるものをご提示ください。※各種割引の詳細はご利用案内をご参照ください。※各種割引の併用はできません。

東京都写真美術館では、ポルトガルを代表する映画監督ペドロ・コスタ(1959–)による、日本最大規模で、東京では初めてとなる美術館での個展を開催します。コスタは、2018年にポルトのセラルヴェス美術館で開催された「Companhia(コンパニア)」(ポルトガル語で「寄り添う」および「仲間」の意)展や、2022年から2023年にかけてスペイン各地を巡回した「The Song of Pedro Costa」展など、映画だけでなく展覧会という形式においても国際的に高い評価を受けてきました。
本展は、コスタが10代の頃に出会い深い影響を受けた、スティーヴィー・ワンダーのアルバム『インナーヴィジョンズ(Innervisions)』(1973)と同名のタイトルを掲げています。音楽を通して社会と個人の関係に迫ろうとしたこのアルバムの精神は、彼の映像制作の方法論とも深く響き合っています。
旧ポルトガル領アフリカのカーボ・ヴェルデ*1から移住し、リスボンのスラム街フォンタイーニャス地区*2で暮らす女性の過酷な日常を映し出した『ヴァンダの部屋』(2000)は、日本では2004年に劇場公開され、新たなドキュメンタリー表現として、大きな反響を呼びました。このようにコスタの映画は、暗闇と光の強いコントラストと、静謐かつ緻密な画面構成のなかに、現実の断片をすくい上げ、社会構造に鋭く切り込み、新たな視座を提示してきました。
今回の展示では、ポルトガルで暮らすアフリカ系移民の歴史を照らし出した『ホース・マネー』(2014)など、コスタ作品において重要な役割を担う、ヴェントゥーラをはじめとする登場人物たちや、彼らが生きる場所に関わる映像作品に加え、東京都写真美術館のコレクションも紹介します。
コスタの映像表現とその背景にある歴史的・社会的文脈に触れることで、「インナーヴィジョンズ」という主題を考察していきます。
また、会期中には美術館1階ホールにて、コスタ自身が選定した映画を紹介する上映企画「カルトブランシュ」や、代表作の特別上映も予定されています。映画の持つ力とペドロ・コスタの映像世界の奥行きを、新たな角度から体験する貴重な機会となることでしょう。

*1 カーボ・ヴェルデ共和国は西アフリカ沖にある火山群等からなる島国で、15世紀にポルトガルによって入植され、奴隷貿易の中継地として栄えたという歴史がある。1975年に独立。
*2 ポルトガル、リスボンにあったスラム街。多くのアフリカ系の住民が集まる移民街だった。コスタは、『骨』(1997)以降、『ヴァンダの部屋』(2000)、『コロッサル・ユース』(2006)でこの地区を舞台に映画制作を行っている。




ペドロ・コスタ
1959年、ポルトガル・リスボン生まれ。リスボン大学で歴史と文学を学び、映画学校では詩人・映画監督アントニオ・レイスに師事。1989年の長編デビュー作《血》がヴェネチア国際映画祭で注目を集め、その後《骨》(1997)や《ヴァンダの部屋》(2000)で国際的評価を確立。カンヌ国際映画祭やロカルノ国際映画祭など受賞歴多数。《ホース・マネー》(2014)でロカルノ国際映画祭最優秀監督賞を受賞。《ヴィタリナ》(2019)はロカルノで金豹賞を受賞。アントン・チェーホフの戯曲『三人姉妹』に着想を得て制作した短編ミュージカル映画《火の娘たち》(2023)は第76回カンヌ国際映画祭で特別招待作品として上映され、各国で高い評価を得ている。


《少年という男、少女という女》2005年 2チャンネル・ヴィデオ・プロジェクション 東京都写真美術館蔵
ペドロ・コスタ《少年という男、少女という女》2005年 2チャンネル・ヴィデオ・プロジェクション 東京都写真美術館蔵

ジェイコブ・リース〈向こう半分の人々の暮らし〉より 1880-1889年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵
ジェイコブ・リース〈向こう半分の人々の暮らし〉より 1880-1889年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵

〈溶岩の人々〉2015年 インクジェット・プリント 作家蔵
ペドロ・コスタ〈溶岩の人々〉2015年 インクジェット・プリント 作家蔵

《火の娘たち》2019年 5チャンネル・ヴィデオ・プロジェクション 作家蔵
ペドロ・コスタ《火の娘たち》2019年 5チャンネル・ヴィデオ・プロジェクション 作家蔵

《火の娘たち(2022)》2022年 3チャンネル・ヴィデオ・プロジェクション 作家蔵
ペドロ・コスタ《火の娘たち(2022)》2022年 3チャンネル・ヴィデオ・プロジェクション 作家蔵

《ジ・エンド・オブ・ア・ラヴ・アフェア》2003年 シングルチャンネル・ヴィデオ・プロジェクション 作家蔵
《ジ・エンド・オブ・ア・ラヴ・アフェア》2003年 シングルチャンネル・ヴィデオ・プロジェクション 作家蔵

《アルト・クテロ》2012年 2チャンネル・ヴィデオ・プロジェクション 作家蔵
ペドロ・コスタ《アルト・クテロ》2012年 2チャンネル・ヴィデオ・プロジェクション 作家蔵

《溶岩の家 スクラップブック》2010年 スライドショー 作家蔵
ペドロ・コスタ《溶岩の家 スクラップブック》2010年 スライドショー 作家蔵

※事業は諸般の事情により変更することがございます。 あらかじめご了承ください。

主催|公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館
後援|在日ポルトガル大使館/カモンイス国際言語協力機構、J-WAVE 81.3FM

関連イベント

出品作家によるアーティスト・トーク
2025年8月28日(木) 18:30~20:30
登壇者|ペドロ・コスタ
会場|東京都写真美術館 1階ホール
定員|190名(整理番号順入場/自由席)
参加費|無料
※当日10:00より1階総合受付にて整理券を配布します
※英日通訳付き
出品作家とゲストによる対談
2025年8月29日(金) 18:30~20:30 登壇者:ペドロ・コスタ、長島有里枝(写真家)
2025年8月30日(土) 15:30~17:30 登壇者:ペドロ・コスタ、諏訪敦彦(映画監督、東京藝術大学教授)
会場|東京都写真美術館 1階ホール
定員|190名(整理番号順入場/自由席)
参加費|無料
※当日10:00より1階総合受付にて整理券を配布します
※英日通訳付き
【関連上映プログラム】ペドロ・コスタのカルト・ブランシュ
2025年8月28日(木) ~9月7日(日)
本展に合わせ、ペドロ・コスタが自らの視点で自由に選んだ11本の映画を上映します。

上映予定作品|※『H story』を除き、日本語字幕付き
1『トラス・オス・モンテス』監督:アントニオ・レイス、マルガリーダ・コルデイロ [1976年|ポルトガル|ポルトガル語|111分]
2『ポルトガルの別れ』監督:ジョアン・ボテリョ [1986年|ポルトガル|ポルトガル語|85分]
3『田舎司祭の日記』監督:ロベール・ブレッソン [1950年|フランス|フランス語|102 分]
4『星を持つ男』監督:ジャック・ターナー [1950年|アメリカ|英語|89分]
5『太陽』監督:アレクサンドル・ソクーロフ [2005年|ロシア・イタリア・フランス・スイス|日本語、英語|110 分]
6『H story』監督:諏訪敦彦 [2001年|日本|日本語|111 分]
7『真人間』監督:フリッツ・ラング [1938年|アメリカ|英語|94 分]
8『山羊座のもとに』監督:アルフレッド・ヒッチコック [1949年|イギリス・アメリカ|英語|117分]
9『パート2』監督:ジャン=リュック・ゴダール [1975年|フランス|フランス語|87分]
10『シチリア!』監督:ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ [1999年|イタリア|イタリア語|66分]
11『映画作家ストローブ= ユイレ あなたの微笑みはどこに隠れたの?』監督:ペドロ・コスタ [2001年|ポルトガル・フランス|フランス語|104分]

※以下の日程で、出品作家による上映アフタートークを開催します。
8月31日(日) 13:00からの上映終了後 登壇者:ペドロ・コスタ

料金|一般1800円、学生および高校生以下 1,000円
※本展チケットのご提示で1,000円(本展チケット1枚につき1回の割引)
会場|東京都写真美術館1階ホール
定員|190名
※ご鑑賞当日午前10:00 より、その日のすべての上映回についてチケットの販売を開始いたします。立ち見不可。開場は各上映開始時間の10分前を予定しています。

上映スケジュール(PDFはこちら[3,335kb])
ペドロコスタのカルトブランシュ上映スケジュール
★ペドロ・コスタによる上映アフタートークあり

フィルム提供・協力:アテネ・フランセ文化センター、コミュニティシネマセンター、神戸ファッション美術館、シネマテーカ・ポルトゲーザ、シネマヴェーラ渋谷、東風、パンドラ、マーメイドフィルム、Ar de Filmes
【関連上映プログラム】ペドロ・コスタ特集上映
2025年11月27日(木) ~12月7日(日)
ペドロ・コスタの代表作を特別上映します。

上映予定作品|※すべて日本語字幕付き
『血』『溶岩の家』『骨』『ヴァンダの部屋』『コロッサル・ユース』『映画作家ストローブ=ユイレ あなたの微笑みはどこに隠れたの?』『何も変えてはならない』『ホース・マネー』『ヴィタリナ』『火の娘たち』ほか、全11プログラム

※以下の日程で、出品作家およびゲストによる上映アフタートークを開催します。
12月6日(土) 登壇者:北小路隆志(映画評論家、京都芸術大学教授)
12月7日(日) 登壇者:ペドロ・コスタ ※オンライン

料金|一般1800円、学生および高校生以下 1,000円
※本展チケットのご提示で1,000円(本展チケット1枚につき1回の割引)
会場|東京都写真美術館1階ホール
定員|190名

※上映スケジュールは決定次第、当館ウェブサイトに掲載します。
担当学芸員によるギャラリートーク
2025年8月29日(金) 14:00~
2025年9月26日(金) 14:00~
会場|東京都写真美術館 地下1階展示室
参加費|無料(要チケット提示)
※当日有効の本展チケット(「TOPMUSEUM PASSPORT 2025」「東京・ミュージアム ぐるっとパス」を含む)または、展覧会無料対象の方は各種証明書等のご提示が必要です。
担当学芸員によるギャラリートーク(手話通訳付)
2025年10月17日(金) 14:00~
2025年11月28日(金) 14:00~
会場|東京都写真美術館 地下1階展示室
参加費|無料(要チケット提示)
※当日有効の本展チケット(「TOPMUSEUM PASSPORT 2025」「東京・ミュージアム ぐるっとパス」を含む)または、展覧会無料対象の方は各種証明書等のご提示が必要です。