本日は開館しております(10:00-20:00)

岩根愛《Tenshochi, Kitakami, Iwate》〈あたらしい川〉より 2020年 作家蔵

※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、入場制限などを実施します。 ご来館のお客様は、必ずこちらをご確認ください。
2F 展示室

あしたのひかり

日本の新進作家 vol.17

2020.7.289.22火・祝

  • 開催期間:2020年7月28日9月22日火・祝
  • 休館日:毎週月曜日(ただし8月10日、9月21日は開館、8月11日は休館)
  • 料金:一般 700円(560)/学生 560(440)円/中高生・65歳以上 350(280)円 ※( )は当館の映画鑑賞券ご提示者、各種カード会員割引、当館年間パスポートご提示者/小学生以下、都内在住・在学の中学生および障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料 ※各種割引の詳細はご利用案内をご参照ください。各種割引の併用はできません。

東京都写真美術館では、写真・映像の可能性に挑戦する創造的精神を支援し、将来性のある作家を発掘するとともに、新たな創造活動を紹介する場として、「日本の新進作家」を2002年より開催しています。17回目となる2020年度は「象徴としての光」と「いまここを超えていく力」をテーマに、写真・映像をメディアとする5組6名の新進作家たちを紹介します。 社会の急激な変化の中にあるいまこの時代は、既存のモデルやこれまでの価値観が揺らいでいる時代でもあります。先行きが不透明な時代の中で、いつしか人々が確かな未来像を心に描くことや、大きな希望を抱くことは難しくなってきているのかもしれません。ときに美術はそうした時代にあって人に光を、さらに複雑な物事を見通す直感的な力や明日への活力をも与えてくれるはずです。 「光」は写真・映像メディアの本質要素であるとともに、人々の日常に遍在するもの、また希望の象徴でもあります。本展の出品作家たちは、「光」を重要な要素としているだけではなく、自身を取り巻く世界の在りようについて独自のヴィジョンを持ち、それを視覚作品として私たちに提示してくれます。これらの作品は、ただ現実を鏡のように写し出すだけではなく、いまここにあり刻々と変貌していく世界をどのように感じ取るのかという世界観を表しています。それらは見る人の心に様々に共鳴し、未来への洞察や生きる力を呼び覚ましてくれるかもしれません。 5組の新進作家たちの写真・映像作品を通して、光に満ちつつも不確かでもあるこの世界からその向こう側にある未来へと、いまここを超えていく力を感じ取っていただければ幸いです。


【オンラインイベント:アーティスト・トーク】
出品作家の作品制作の舞台裏、作品に寄せる思いなどを動画でお届けいたします。[聞き手:石田哲朗(当館担当学芸員)] 

第5回:菱田雄介
(前編)


(後編)


第4回:鈴木麻弓


第3回:岩根愛


第2回:原久路&林ナツミ
(前編)


(後編)


第1回:赤鹿麻耶


【出品作家】

岩根愛
1975年、東京都生まれ。1991年米ペトロリアハイスクール留学。帰国後96年に独立。2006年以降ハワイにおける日系文化に注視する。13年福島県三春町に拠点。移民を通じたハワイと福島の関わりをテーマに制作を続ける。18年写真集『KIPUKA』(青幻舎)を出版。19年第44回木村伊兵衛写真賞、第44回伊奈信男賞をダブル受賞。ドキュメンタリー映画『盆唄』(中江裕司監督作品、2019年)のアソシエイト・プロデューサーも務める。本展では、13年以上にわたって継続する代表作〈KIPUKA〉に加えて、初公開の新作シリーズを展示する。




岩根愛《Haleiwa, Hawaii》〈あたらしい川〉より 2019年 作家蔵

赤鹿麻耶
1985年、大阪府生まれ。2008年関西大学卒業。10年ビジュアルアーツ大阪写真学科卒業。11年作品〈風を食べる〉で第34回写真新世紀グランプリ受賞。大阪を拠点に海外を含む各地で個展、グループ展を開催。夢について語られた言葉、写真、絵や音など多様なイメージを共感覚的に行き来しながら、現実とファンタジーが混交する独自の物語世界を紡ぐ。本展では、子供の時の心のときめきや時空を超えた感覚を追い求める旅を描いた新作シリーズ〈氷の国をつくる〉を初公開する。




赤鹿麻耶〈氷の国をつくる〉より 2020年 作家蔵

菱田雄介
1972年、東京都生まれ。写真家・映像ディレクターとしてボーダー(境界線)が日常生活にどのような影響を与えるかをテーマに、国境や紛争地域を取材したドキュメンタリー写真を手がける。2008年および10年写真新世紀展佳作入選。17年に南北朝鮮の人々をとらえた写真集『border|korea』(リブロアルテ)を発表、コンセプチュアルで象徴的な表現によって大きな評価を得た。本展では、マスメディアの情報からこぼれ落ちる何気ない人物の姿に焦点をあてた映像作品シリーズ〈30sec〉他、作家が世界各地で撮影したポートレイトを中心に展示する。




菱田雄介〈border〉より 2013年 作家蔵

原久路&林ナツミ
2013年結成。原久路(1964年、東京都生まれ)と林ナツミ(1982年、埼玉県生まれ)による写真家ユニット。2011年以降〈本日の浮遊〉の共同制作を経て、14年東京から九州へ移住、大分県別府市を拠点に活動。コラボレーション作品を制作、発表する。SNSを中心に発表される〈世界を見つめる〉は、子供から大人へと成長する過程にある無名の少女たちを被写体として、彼女らの自由な行動や発想から生まれるポートレイトと地元・別府の都市風景からなる作品シリーズである。




原久路&林ナツミ《三つ子ごっこ(めいは、よつば、さくら)》〈世界を見つめる〉より2019年 作家蔵

鈴木麻弓
1977年、宮城県生まれ。出品作品〈The Restoration Will〉は「復元の意志」の意。ここでは2011年の東日本大震災による津波で被災した故郷・女川町の風景が、写真館を営んでいた実父の遺品レンズを通して写し出される。自身の幼少期の家族アルバムからの傷ついた写真が効果的に挿入されるなど巧みな編集によって作品は強靭なメッセージ性を持っている。17年Photobooxグランプリ受賞(イタリア)、18年PHOTO ESPANA International Photography Book of the Year受賞(スペイン)など欧州の写真アワードで大きく評価された注目シリーズを展示する。




鈴木麻弓〈The Restoration Will〉より 2017年 作家蔵

□主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館、東京新聞
□助成:芸術文化振興基金
□協賛:東京都写真美術館支援会員

展覧会図録

あしたのひかり 日本の新進作家 vol.17
岩根愛、赤鹿麻耶、菱田雄介、原久路&林ナツミ、鈴木麻弓(以上、出品作家)によるアーティストステートメント、図版、作品リスト、作家略歴、および石田哲朗(東京都写真美術館学芸員、本展覧会担当)による解説ほか 2,200円(税込)

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