本日は開館しております(10:00-20:00)


中村 ハルコ 「光の音」より 1993-98年
©Estate of Nakamura Haruko Courtesy Tomio Koyama Gallery,Tokyo/ Formare la Luce,Tokyo

2F 展示室

ニュー・スナップショット
日本の新進作家展vol.9 [かがやきの瞬間]

2010.12.112011.2.6

  • 開催期間:2010年12月11日2011年2月6日
  • 休館日:毎週月曜日(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日)
  • 料金:一般 700(560)円/学生 600(480)円/中高生・65歳以上 500(400)円
  • ※各種カード割引あり

( )は20名以上団体、当館の映画鑑賞券ご提示者、上記カード会員割引(トワイライトカードは除く)/ 小学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料/第3水曜日は65歳以上無料

東京都写真美術館は写真・映像の可能性に挑戦する創造的精神を支援し、将来性のある作家を発掘し、新しい創造活動の展開の場となるよう、様々な事業を展開しております。その中核となるのが、新進作家に焦点をあてた展覧会です。9回目となる本展は、「スナップショット」に新しい可能性を見出そうとしている6人の作家をご紹介します。
人間の深部や微妙な感情、場の空気さえも瞬間に取り込む「スナップショット」は、他のメディアにはない写真ならではスタイルであり、その魅力に気づいた多くの表現者たちは脳裏に焼きつくような、力のあるイメージを残してきました。本展は、先人の写真家たちによってかたちづくられた「スナップショット」の伝統をふまえ、未来へのエレメント(要素)を探し出そうとする作家たちを取り上げています。彼らの作品には、理屈の世界から解放され、調和や生きる歓びといったものを喚起する、光、風、動き、笑い、楽しさ、気持ちよさなどのキーワードを拾うことができるかもしれません。同時に、その対極にあるエレメントにも気づかされることでしょう。
6人の作家たちの作品には、典型的な「スナップショット」もあれば、これが果たして「スナップショット」なのだろうかと思われる作品も含まれています。本展は、彼らの作品を通して、進化を続けている「スナップショット」を考えようとするものです。(出品点数205点)

同時開催の「スナップショットの魅力」展とあわせてお楽しみください。
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【本展の見どころ】
■新時代のスナップショットの動向を探る!
多くの写真家にとって、最も身近でポピュラーな撮影スタイルであるスナップショット。そのスタイルは、カメラのデジタル化や携帯化とともに、いまの若い世代にも脈々と受け継がれています。本展では、そのような新時代のスナップショットを通して、未来の写真表現の動向を探ります。

  

■テーマは、「生きる歓び、かがやきの瞬間」。
生活のあらゆる場面を捉えてきたスナップショット。本展では、調和や生きる歓びを喚起させる、楽しさ、笑い、気持ちよさなど、明るい側面にも注目します。きらりと光る「かがやきの瞬間」を捉えたスナップショットから、人々を楽しくワクワクさせる 「写真の力」を再認識できることでしょう。

  

■6名の新進作家を紹介。新作、未公開作品多数!
写真美術館の新進作家展は、“新人”作家のお披露目展ではありません。現在幅広い分野で制作活動を続けている将来性のある作家を、当館キュレーターが厳選してご紹介する展覧会です。美術館初登場の中村ハルコ、写真集「wintertale」が話題の小畑雄嗣、ニューヨーク在住の白井里実、’98年写真新世紀優秀賞受賞の池田宏彦、写真家として作品を初展示する結城臣雄、新作を発表する沖縄在住の山城知佳子。6名の「かがやきの瞬間」は、日本の新しいスナップショットの可能性を魅せています。

  

■写真家・結城臣雄、初登場!
1987年ソニー・ウォークマンのCM「瞑想するサル」は当時大変な話題を集め、同年「全日本コマーシャル大賞」最優秀スポット賞、カンヌ国際広告祭のエレクトロニクスカテゴリーで金獅子賞を受賞、のちに「20世紀の殿堂入りCM」にも選ばれました。その演出家が結城臣雄です。2000年頃から東京の街をテーマにスナップショットを撮り始め、現在その数は7万点にのぼります。本展では、写真家として結城臣雄の作品を美術館ではじめてご紹介いたします。

 

■同時開催展とあわせて2倍楽しむ!
同時開催のコレクション展「スナップショットの魅力」は、アンリ・カルティエ=ブレッソンから現代を代表する写真家まで、バラエティに富んだスナップショットの名作をご紹介します。本展といっしょにご鑑賞いただくことで、スナップショットの作品をより幅広く楽しむことができます。

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【出品作家】

■池田 宏彦 Ikeda Hirohiko (1971-)
「偶然の出会いとスナップショットはどこか似ている」と池田はいう。イスラエルのネゲヴ砂漠の撮影も、偶然がもたらした産物だった。キブツのセロテープ工場で知り合った仲間や工場にあった大量のアルコール、砂漠に転がる動物の骨などはすべて、必要な被写体の材料となり、それはまるで、未知なる力にお膳立されているみたいだった。「at negev」(1998年、キヤノン写真新世紀の優秀賞受賞作品)を2010年ヴァージョンとして生まれ変わった「オーレオン」ほか、2002年にイスラエルで撮影されたイメージを重ね、つなぎ合わせた動画によって「スナップショット」の「目の前の今この一瞬」とは何かを探る。

1971 東京生まれ
1995 明治学院大学社会学部社会学科卒業
1996-1997 中東を旅行
2001-2002 中東を旅行
2010 フリーランスカメラマンとして活動中


■小畑 雄嗣 Obata Yuji (1962- )
「冬は学校のグランドに水をまいて凍らせ、夜中にスケートをする」という話を、北海道中標津出身の知人から聞いた瞬間に浮かんだ光景。それは、実際に訪れてみると、小畑がイメージしたものと同じだった。別海スピードスケート少年団が猛スピードで氷上を駆け抜けるシルエットや、降雪のなかで流れるように鬣を揺らしながら走る競走馬、人ひとりいない極寒の夜の街など、残像のように脳裏に焼きつくシーンのなかで、撮影方法を試行錯誤しながら見つけた降り落ちる雪の結晶は、ひときわ光っている。1987年、第24回太陽賞、2008年には、「二月 Wintertale」に対して東川賞特別賞を受賞。

1962 神奈川県藤沢市生まれ
1985 日本大学芸術学部写真学科修了


■白井 里実 Shirai Satomi (1972- )
ニューヨークに在住し、異文化に順応しようと変わっていく心理や感覚をテーマに、自分が経験している現実の生活に重ねて「ホーム・アンド・ホーム」を制作する。セッティングによって被写体をコントロールするステージ・フォトのスタイルを取っているが、そのなかに人物や光、風の動きなど、瞬間やスポンテニアス(自然発生的)な要素を意識的に取りいれている。ニューヨークのICPでスカラシップ・アワード(2007年)を受賞するほか、ロンドン(08年)やワシントンDC(09-10年)のナショナル・ポートレート・ギャラリーで展示される。

1972  東京生まれ
1996  武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科修了
2007  インターナショナル・センター・オブ・フォトグラフィ1年プログラム
2007-  ニューヨーク市立ハンター・カレッジ芸術学部 大学院修士課程在籍中


■中村 ハルコ Nakamura Haruko (1962-2005)
魅力的で心惹かれる対象をつねに追い求めた中村が、ついに出会ったのは、イタリア、トスカーナ地方に住むイヴォとイルダ夫妻だった。目の前にひろがる美しい風景と、素朴でのんびりした彼らの生活。彼女はそこに、永遠の光を見、「光の音」を聞いたのかもしれない。ヴィヴィッドなカラー作品の配列のなかに時折現れるモノトーンのイメージが、フラッシュバックするように、意識を現実と夢の世界に行き来させる。2000年には、自らの出産を撮った「海からの贈り物」で写真新世紀の年間グランプリを受賞。43歳で夭逝するが、近年、注目を集めはじめ、遺された作品の公開が待たれる。

1962 埼玉県生まれ
1985 日本大学芸術学部写真学科修了
2005 膵臓ガンのためこの世を去る


■山城 知佳子 Yamashiro Chikako (1976- )
沖縄を拠点に、映像、パフォーマンス、写真表現を展開する美術家として、活動をつづける山城。本展では、写真表現における「スナップショット」について、写真家たちがこだわり続けてきた「決定的瞬間」と動画における静止画、連写における一コマについて、スティル写真と映像のインスタレーションによって問題提起する。前回の映像作品「沈む声、赤い息」から流れるテーマに繋ぎ、現在、沖縄の森をロケーションに制作中。2008年「沖縄・プリズム 1872-2008」(東京国立近代美術館)、2009年「アトミックサンシャインの中へ in 沖縄」(沖縄県立博物館・美術館・佐喜眞美術館)、「第2回恵比寿映像祭 歌をさがして」(東京都写真美術館)に出品。

1976  沖縄県生まれ
1999  沖縄県立芸術大学美術学科絵画専攻卒業
2000  イギリス、サリー州立アート&デザイン大学大学院交換留学
2002  沖縄県立芸術大学大学院環境造形専攻修了


■結城 臣雄 Yuki Shigeo (1945- )
2000年頃から、東京の街をデジタルカメラで撮影したスナップショットは現在まで、7万点を超える。かつてないほどに変貌を遂げる東京という都市に惹かれる理由は何なのか、東京に網の目のように広がる川の撮影を手掛かりに、解き明かそうとした「東京水景」をはじめ、変わる東京・変わらない東京をリアルタイムな視点で捉えた「都市の襞」「東京ノスタルジア」など、デジタル出力の自家版写真集を制作する。それらすべて未公開作品の一部を、インクジェット・プリントと、「無名の街」として構成したスライド・ショーで紹介。1967年から、CM演出家として活躍。世界最高峰の広告賞のひとつ、クリオ賞などを受賞。

1945年宮城県生まれ
1967年千葉大学工学部工業意匠学科卒。
1967年日本天然色映画企画演出部入社、1974年退社。
以降フリーランスのCM演出家として現在に至る。
1982年東京アートディレクターズクラブ会員、2000年退会

 
小畑 雄嗣 「二月(Wintertale)」より 2007年 © Obata Yuji 
白井 里実 「ホーム・アンド・ホーム」 2006年-より © Shirai Satomi 


 
池田 宏彦 「echoes」より 2002年© Ikeda Hirohiko 
結城 臣雄「都市の襞 Tokyo Is」より  2002 年© Yuki Shigeo



山城 知佳子「聴こえる唄」2010年より © Yamashiro Chikako
All Right Reserved. Courtesy of Yumiko Chiba Associates.


□ 主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館/東京新聞
□ 助成:財団法人地域創造
□ 後援:イスラエル大使館/イタリア文化会館/シブヤ大学
□ 協賛:東京都写真美術館支援会員
□ 協力:エプソン販売株式会社/キヤノン株式会社/株式会社コスモスインターナショナル/有限会社東京カラー工芸社/株式会社フレームマン

関連イベント

Syabi クリスマスライブ
2010年12月24日(金) 18:30~19:15  終了致しました

中村ハルコの作品『光の音 pure and simple』に楽曲提供をした
ダニエル・コフリンさんが東京都写真美術館でクリスマスライブを開催します。
会場:2階エントランスロビー
演奏:ダニエル・コフリン(ギター)
入場無料※どなたでもご鑑賞いただけます。
12月24日(金)の夜間開館(17:30~20:00)は
すべての展覧会が入場無料になります。
どうぞこの機会に、写真美術館の夜間開館をお楽しみください。
(閉館は20:00となりますので、お早めのご入場をお願いいたします)

※詳細はこちらをご覧ください。

緊急決定!白井里実さんによるフロアレクチャー
2011年2月4日(金) 16:00~  終了致しました

ニューヨーク在中の白井里実さんのフロアレクチャーが緊急決定しました。
作品について解説します。
解説:白井里実(出品作家)
※本展覧会の半券(当日有効)をお持ちの上、会場入り口にお集まりください。

出品作家による新春特別フロアレクチャー
2011年1月2日(日) 16:00~  終了致しました
2011年1月3日(月) 16:00~  終了致しました

出品作家が来館して作品について解説します。
2日(日)池田 宏彦、小畑 雄嗣
3日(月)池田 宏彦、小畑 雄嗣、結城 臣雄
※1月2日(日)は、どなたでもご参加いただけます。
※1月3日(月)は、本展覧会の半券(当日有効)をお持ちの上、会場入り口にお集まりください

担当学芸員によるフロアレクチャー
2010年12月17日(金) 16:00~  終了致しました
2011年1月7日(金) 16:00~  終了致しました
2011年1月21日(金) 16:00~  終了致しました
2011年2月4日(金) 16:00~  終了致しました

※本展覧会の半券(当日有効)をお持ちの上、会場入り口にお集まりください。

出品作家によるフロアレクチャー
2010年12月11日(土) 14:00~  終了致しました

出品作家が来館して作品について解説します。
解説:山城知佳子(出品作家)
※本展覧会の半券(当日有効)をお持ちの上、会場入り口にお集まりください。

展覧会図録

Radiant Moments The New Snapshot
[かがやきの瞬間]ニュー・スナップショット
展覧会の出品作品と出品作家によるテキストを掲載しています。
A4判変形 183ページ 発行:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館

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