○入賞
氏 名 : 甲斐義明
論文名 「〈アクシデント〉の衝撃、未だなおー森山とウォーホル」
※この論文は「森山大道論」（淡交社刊）に掲載されます
○入選
氏 名 : 荻野厚志
論文名 「森山大道ー故郷への路上、街の記憶」［pdf_44kb］
同
氏 名 : 遠藤智昭
論文名 「逃げろや逃げろ！ー大道と現代写真の行方」［pdf_40kb］
同
氏 名 : 桐谷麗了子
論文名 「森山大道論 痕跡としての写真」［pdf_560kb］
福原義春(東京都写真美術館館長)、金平茂紀(ジャーナリスト、ＴＢＳ報道局長)、清水穣(美術・写真評論家、同志社大学准教授)、笠原美智子(東京都写真美術館事業企画課長)
このたび、東京都写真美術館で2008年5月より開催いたします森山大道展の関連企画として森山大道論の公募を行い、30編もの応募をいただきました。ご応募いただいた方々にはここに厚く御礼申し上げます。
応募論文は4名の審査委員によって厳正に審査させていただきました。森山大道氏の写真表現について様々な解釈、また様々な思いを込められた力作が揃っており、森山大道氏の人気と作品の影響力をあらためて確認した次第です。
審査については、下記の点に留意して行いました。
1. 森山大道の作品および著作についての分析がじゅうぶんになされている論文
2. 論旨が明確で、構成や文章において高い水準にある論文
3. 独自の視点や、議論の展開がみられる論文
その結果 入賞1名に加え、入選3名を選出いたしました。
入賞論文1編は展覧会と同時に刊行される『森山大道論』(淡交社)に掲載させていただきます。入賞・入選論文については森山大道展会期中にホームページに論文掲載させていただきます。
東京都写真美術館 館長 福原義春
○入賞論文
氏 名 : 甲斐義明
論文名 「〈アクシデント〉の衝撃、未だなおー森山とウォーホル」
※この論文は「森山大道論」（淡交社刊）に掲載されます
・初期の作品「アクシデント」におけるウォーホルへの傾倒を通じて、それがウォーホルと全く異なった表現に至った過程を具体的に論じた。その問題提起と説得力に強いものを感じた。(福原)
・突出して優れた論考。ウォーホルの「影響」の分析などという生易しいレベルに留まらず、森山作品に内面化されたウォーホルからの「恩寵」とさえ述べる論述の冴えは素晴らしい。森山自身の語りを写真と同じ位相の解釈の対象とすべしと看破している点も驚く。(金平)
・着眼点がオリジナルで良く、すぐれた感性を感じる。論の展開はやや感覚(物質性、表面の質感)のレベルに拠りすぎていて、「アクシデント」とプロヴォークの関係や、最近の壁紙インスタレーションとの比較などがあればなお良かった。しかしいずれにせよ、応募作品の中で唯 一、森山大道批評として成立している。(清水)
・森山大道の初期作品「アクシデント」はウォーホル作品の模倣であるという論者の結論から、森山大道の写真行為に迫るという、独自な視点に読み応えと説得力があった。(笠原)
○入選
氏 名 : 荻野厚志
論文名 「森山大道ー故郷への路上、街の記憶」［pdf_44kb］
・森山大道の作品を、路上における「非人称的な親密さ」と「故郷喪失」の２点から論じた点が、説得力があった。また文章力、構成力共に抜きんでていた(笠原)
・文章として読ませるものがあった。「非人称的な親密さ」「故郷喪失」を一般論ではなく、森山大道の写真に具体的に即して論じていたら、良い写真論になっていただろう。(清水)
同
氏 名 : 遠藤智昭
論文名 「逃げろや逃げろ！ー大道と現代写真の行方」［pdf_40kb］
・森山大道作品が今や美術館に収蔵され、そこにある反抗の表現がいつの間にか権威になってしまったアイロニックな状況を衝いた。(福原)
・森山作品の受容のされ方自身が、森山が忌避してきた方向に傾いていく。こういう指摘は、森山批判にはならず、むしろ、現在の写真を取り巻く社会・業界に対する問題提起にはなり得る。(金平)
同
氏 名 : 桐谷麗了子
論文名 「森山大道論 痕跡としての写真」［pdf_560kb］
・近作「ハワイ」の分析をすることによって、作家が変わることなくひたむきに自己を追求していること、そしてそのことによって見るものの自己を発見させることを発見した。(福原)
・新作「ハワイ」から歴史を遡って、社会性の欠如という点で大道作品を論じ、論者自身の関心へと導いている点が良かった。(笠原)
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